電研紀行:青森編

本州最北端に位置する青森県。筆者はこれまで訪れた機会がなく、函館へ旅する際に通過したくらいだった。そのため、街の規模などについてもまったく想像できず、連想するのは「りんご」と「恐山」くらい。これではいけないと思い立ち、今回は北へ向かうことにした。

1日目

新青森駅までは、東北新幹線で東京から3時間半程度。大体東京〜仙台が1時間半と考えると、東北がいかに広いかがわかる。仙台を過ぎてからはトンネルが多く、景色を楽しめない点はやや残念だ。

長距離移動を経て、やってきたのは新青森駅。びっくりするくらい何もない…。

駅の反対側もこんな感じ

もちろん、ここはあくまで新幹線が止まる場所であって中心部というわけではなく、青森駅までは在来線に乗って移動することになる。新青森〜青森は5分程度なので、移動も楽チンだ(電車の本数自体は多くないが…)。


そんなわけで、青森駅に到着。駅ビルが並び、失礼ながら想像していたよりはるかに洗練されていた。

調べてみると駅ビル「LOVINA(ラビナ)」の東館は2024年にオープンしたとのことであり、通りでという感じである。駅ビルには飲食店や雑貨店が入っており、とても活気があった。

道路が広い

この日はあまり天気が良くなかったこともあり、遠出は避けてとりあえず市内を散策してみることに。ホテルに荷物を置いてから、まずは海の方へと向かった。


道中にあった善知鳥(うとう)神社。かなり古い歴史を持っているようだが、建物は全体的に新しい印象を受けた。観光客というより、地元の人のための神社という感じ。参拝者も観光っぽさはなかった(自分は観光客だが)。


そのまま歩いていくと、「青い海公園」に到着。陸奥湾が一望できる景観が特徴的で、爽快感がある。青森駅から少し離れているからか、日曜日の割に人はほとんどいなかった。

ちなみにこの青い海公園のすぐそばには「青森県観光物産館アスパム」という特徴的な三角形のビルが建っており、こちらの展望台から陸奥湾の景色を楽しめるようだ。

左に見えるのがそれ

そのまま海岸線を歩き、青森駅の方角へ。ここは「青森ラブリッジ」と呼ばれており、夜間はライトアップされることでムードたっぷりなデートスポットになるらしい(夜に行った時もそこまで人はいなかったが…)。

海をのんびり眺めるベンチが多く置かれているほか、車椅子の人も移動しやすいよう段差にカバーがつけられている

歩いていくと、「あおもり駅前ビーチ」が見えてくる。

名前の通り、ちょっとした砂浜があり、この日はビーチサッカーの試合をしていた。全体的に子供や学生が楽しむ場という感じで、ここも活気があって良い感じ。

ちょっとおしゃれな建物も。そのおかげか、若い人も多かった。


夜は駅ビル内のお店で。青森産の食材を使うことを意識している飲食店のようで、自分のような地元の居酒屋とか入るのが苦手な人からしたらありがたい。「漬けヒラメ丼」を食べたがこれがまた美味しかった。さすが港街!


ホテルへ戻る道中に思ったが、全体的に街が綺麗。音声付きの信号もいたるところにあるし、良い意味で想像していた街と違った。

2日目

朝は涼しい…。午前中から当たり前のように30℃を超えていく東京との違いをここでも実感。この日は最初から目的地をしっかり決めており、まずはそのために青森駅前のバスロータリーへ。

青森屈指の観光名所(だと思う)・三内丸山遺跡には、青森駅からバスに乗って30分程度で向かえる。ついこの間、佐賀の吉野ヶ里遺跡に行ったばかりのため、良い比較ができるなという思いもあった。

到着。施設が立派。写真に写っているのは「縄文時遊館」という建物で、ただ休憩所や売店があるだけでなく、多くの出土品を展示する博物館的な役割も担っているそうだ。

その館内はこんな感じ。綺麗。一つだけ注文があるとすれば、もう少し空調が効いていると暑い日にはありがたいです。

館内でチケットを買い、いよいよ三内丸山遺跡へ。


良い天気すぎる。この日も青森は30℃には到達しない気温だったが、特に昼間は普通に暑い。

広大な敷地内に、いくつかの復元された竪穴建物が見られる。加えて、現在進行形で発掘調査も行われているようであり、その様子を観察できるのも特徴だ。


ジブリっぽい。

中には入れないが、様子は見られる(暗かったけど)

全体的に、吉野ヶ里遺跡に比べるとこじんまりとしており、周り切るのにそこまで時間もかからない。もちろん、あくまで吉野ヶ里遺跡に比べれば…の話であり、歴史的価値も高いこの場所はぜひ一度行ってみるべきだろう。

一通り遺跡を見て回った後は、再び縄文時遊館へ。この日は特別展として「縄文時代のおわり-クマとイネと土偶-」も開催されており、せっかくだからと見て回ることに(特別展は別途チケット代が発生する)。


展示品は土偶や土器がメインとなっており、それに対する解説文も丁寧。それでいて堅苦しい文体ではなく、割と遊び心も込められているので非常に面白かった。


クマ形土製品。ゆるキャラみたいで可愛い。

亀ヶ岡系弥生文化について知れる機会ともなり、とても有意義だった。遺跡の方と合わせれば十分なボリュームであり、青森に行く予定の人には胸を張ってオススメできるスポットだと思う。

ここからバスに乗って再び青森駅まで戻り、今度は在来線に飛び乗ることに。目指す先は、青森の観光名所として名高い「弘前城」だ。青森〜弘前は電車でだいたい30〜40分程度。ちなみにこの区間までならsuicaも使えるため便利だ。


電車に揺られ、弘前へと到着。デカ過ぎりんごに出迎えられる。

弘前駅自体は綺麗だったが、駅前は閑散としており、あまり人影もなかった。青森と弘前のイメージ、来る前は逆だったな…。とりあえず、最大の目的である弘前城に向かうことに。

弘前城まではバスで15分ほどとのことだが、バスがちょうど行ってしまったタイミングだったためにタクシーを利用。バスターミナルの案内がちょっとわかりにくい…。

タクシーの運転手はおしゃべりな人で、最近降雪量が増えている、そのせいで弘前城の松の木が折れた、青森人としても今年の夏は暑い、岩木山は有料道路を使えば結構な高さまで車で行ける、などの話が聞けた。

弘前城に到着。想定していたより、人がいない。弘前城周辺は公園となっておりとても綺麗だったため、この日のような暑さでなければ散歩などにはもってこいだと思う。自分の近所にもこういう城が欲しかった(贅沢)。


どうも弘前城は現在諸々改修中のようで、橋が工事中だったことからかなり大回りで本丸に向かうこととなった。


こちらが弘前城の本丸。「あれ?」と思ったが石垣工事の影響で本丸を移動させているとのことで、何となく居心地悪そうにしている。中にはもちろん入れず、そこも含めて少し残念だった。

近くには弘前城史料館なる建物もあったが、数本の動画を流しているスペース以外は休憩所的なものとなっており、うーん…という感じ。

弘前城公園から見える岩木山は素晴らしい眺めだった。

帰りの電車の時間も考え、ここでバスに乗り駅まで引き返すことに。

改修中だったこともあって少々残念な弘前城だったが、青森に帰って食べたこの本鮪丼で気力回復。産地直送と宣伝しているだけあって、新鮮かつ非常に美味だった。また食べたい。

3日目

最終日は遠出をせず、1日目で行けなかった青森市内の場所へ足を運ぶことにした。

まずは特徴的な外観が気になっていた青森市文化観光交流施設「ねぶたの家 ワ・ラッセ」に。ここは青森の代名詞とも言える、「ねぶた祭」を大々的に紹介するスポット。大型ねぶたが多く展示されているほか、祭の歴史や魅力などが紹介されている。

中に入ってみて、驚いたのが外国人観光客の多さ。この旅の最中はあまり見かけなかった外国人観光客は、全てここにいたのかと思うくらいの数だった。彼らからすれば、ここでしか見られない展示だろうし、皆興味津々という顔で展示を見たり、体験ゾーンで和太鼓を叩いたりしていた。お土産屋さんも大混雑。

大迫力。「ねぶたには興味あるけど、祭は人多いし暑いし(毎年8月開催)」という人は、ぜひこのミュージアムに行ってほしい。涼しい空間で実際に祭で展示されたねぶたを見ることができる。

ワ・ラッセを出て、次に向かったのはその近くにあったこちらの船。

この写真は初日に撮ったもの

青森に着いた時から目には入っており、年季の入った船だなと思っていたがそれもそのはず、この船は1908年から1988年までの80年間、連絡船として活躍していた「八甲田丸」なのだ。現在は連絡船としての役割を終えているが、当時のままの状態で観光スポットとなっている。

2階の入り口で観覧券を購入すると、船の内部を見て回ることができる。内部には昭和の青森を再現したジオラマも展示されており、飽きさせない作りに。

各ジオラマでちょっとしたストーリーも用意されている。

普通なら入れないような操舵室にも入れる。自分は船マニアというわけではないが、それでも結構ワクワクした。計器が色々あって、操縦できる気はしません。

甲板にも出られるようになっており、船員気分を味わうことも可能。この日も青森にしては暑かったと思うが、海の上ということもあって涼しい潮風が吹いていた。

実際の鉄道

また、この八甲田丸は車両甲板や地下の第2甲板も見学可能。貨物船として、鉄道をどう運んでいたかを見ることができる。ここで展示されている鉄道は、キハ82系など。鉄道マニアならより感動したかもしれない。

統括制御室や、エンジンルームなども見学できる。この辺は空気があまり良くなかったが、それも含めてのリアルかもしれない(一応、空調はある)。

総合的に見て、観覧料である510円以上の価値は十二分にあったと思う。歴史的価値もあるし、ジオラマ等も含めてエンターテイメント性も申し分なかった。あまり観光客がいなかったことが不思議。

これにて今回の青森旅は終わりを迎えた。正直言って、本当に来る前とは印象が変わった。食べ物は美味しいし、街は全体的に綺麗で、観光スポットはまだまだある。またぜひ足を運び、今度は今回行けなかった十和田湖や八甲田山も見てみたい。その際は、熊だけ大人しくしてくれているとありがたいですね!

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