温暖な気候、豊かな自然、美味しい食べ物。
九州に対するイメージと聞かれてパッと思い浮かんだワードがこれ。自分でも「浅っ」と思わずにはいられないが、これまでほとんど足を運んだことがなければ、こんなものかもしれない。パブリックイメージもこんなもの……のはずだ。
というわけで、今回の旅先は九州に決定。ただ、九州と一口に行っても非常に広大なので、今回は南九州に該当する宮崎・鹿児島を行き先に指定(実際のところ、まずは福岡かなとも思ったがホテルを取れず)した。苦手な飛行機を利用し、いざ南国・宮崎へ。
1日目
空港に到着すると、真っ先にヤシの木が目に飛び込んでくる。来た人に「あぁ、南国だ」と一発で理解させる強力なモニュメント。微妙に枯れている木が多かった。
宮崎空港から宮崎駅までは距離があるため、鉄道もしくは車で移動する。ただ、鉄道で移動する場合、1時間に1、2本しか動いていないため注意が必要だ。
宮崎駅に到着。駅内にはいくつも飲食店が入っており、とりあえず昼食はここで「宮崎うどん」を食べることにした。宮崎うどんは麺が平たく柔らかいのが特徴、らしい。ここではきつねうどんを注文したが、きしめんを少し細くしたような感じで、本当に平たかった。写真は撮るのを忘れました。
3月はまだ日が落ちるのも早く、なんとか明るいうちにどこか一つは観光地に……。そこで選ばれたのが「青島神社」でした。宮崎は駅から観光地までがどこもけっこう遠く、その中では比較的近いのでは?と判断したのが理由だ。それでも、タクシーで5,000~6,000円程度かかるので、遠いと言えば遠い。
青島神社は「宮崎 観光」で検索すると真っ先に出てくるスポットなこともあり、結構な賑わいだった。とはいえ、最近行った広島の宮島などと比べれば流石に控えめ。神社までの道中はマンゴージュースなどが売られており、ここでも南国を感じられる(まだ寒かったが)。
海岸の方へ向けて歩いていくと、青い海が広がる中で島が見えてきた。島、と言ってもそこまでのサイズ感はないが、それがかえって独特の雰囲気である。
強烈な潮風に当てられながら、青島へ。この島は熱帯・亜熱帯植物の群生地であり、国の特別天然記念物にも指定されているとのこと。つまりジャングルの中に神社が存在するようなものであり、アンバランス?な感じを受ける。
ちなみに青島神社は縁結び・安産・航海安全の神様が祀られており、実際に夫婦や女性の参拝者が多かった。航海安全だけジャンルが違いすぎないか?と思いつつ、とりあえず健康祈願をしておいた。
帰りは在来線を利用。振り返ってみると、この辺の写真が非常に少ない。というのも空の旅のせいで既にこの時疲労困憊であり、「写真を撮る」という意識が希薄だったのだ。これを反省して、2日目以降はバシバシ写真を撮っている。
青島神社から宮崎へ戻り、ホテルで少し休憩した後に中心街へ。宮崎というとリゾート地のイメージが強く、おしゃれな店が立ち並んでいるのかと想像していたが、思っていたより雑多な印象を受けた(良くも悪くも)。飲食店と夜の店が同じ区画に立ち並んでおり、ちょっと川崎とかに雰囲気が似ているかもしれない。
夕飯は宮崎牛の焼肉屋に決定。美味かった。
2日目
次の日は朝から鹿児島へ向かうことに。隣県ながら、宮崎駅から鹿児島中央駅までは特急で2時間ほど。隣県とは?
車窓から見える景色は日本の田舎……とも違う、ひたすら雑木林な場所が多く、開拓の余地がありそうだった。
2時間電車に揺られていると、見えてきたのは桜島。一発で鹿児島と分かる場所があるのは強いな、と思いつつ鹿児島中央駅に到着する。
都会……。駅前は想像以上に栄えていて、バスロータリーなども整備されている。駅ビルにはさまざまなブランドが立ち並んでいて、映画館もあった。
テンションが上がりつつ、目指した先は桜島。鹿児島といったらまずはここだ。桜島まではまず鹿児島中央から出ている路面電車を利用して、フェリー乗り場へ。このフェリー、15分おきに出航していて、運賃は片道200円。非常に便利である。
15分ほど船に揺られ、やってきた桜島。
でっか。前回の宮島もだが、百聞は一見に如かずとはよく言ったもので、想像していたよりずっと大きな島だった。
とはいえ、宮島ほどお店が立ち並んでいるわけではなく、そこはやはり活火山の島だからだろうか。この日は天気もよく、山以外に高層の建物もないので空が広く感じられる。
「桜島に行く」以外はノープランだったこともあり、とりあえずモデルコースを歩いてみることに。振り返ってみると、これが完全に失敗だった。
モデルコースは溶岩なぎさ遊歩道などを歩くことになるが、静寂な空間やそこかしこに火山岩が転がっている風景が楽しめる。最初のうちはその魅力をエンジョイしながら歩いていたが、徐々に「あれ、これ休憩所とかないな?」と気づくことに。烏島展望所まで歩き続けるしかないことに気がついた。
猫もいた。
この日は3月にしては気温が高かったこともあり、ヒーヒー言いつつ烏島展望所に到着。元々は烏島という小島だったらしいが、桜島大噴火で流出した溶岩に呑み込まれたらしい。凄まじい威力だ。
そして……自動販売機などは特になし!これ以上先に進むのは命の危険を感じたため、渇きに苦しみつつ帰路につく。
フェリー乗り場で買ったカルピス、この旅で一番美味かったかもしれない……。
自分は苦手なので浸からなかったが、モデルコースには足湯もあったので好きな方はぜひ。
ランチは駅地下にあったトンカツ屋へ。さすが鹿児島!トンカツが美味い!ロースカツがびっくりするくらい柔らかく、ソースも色々選べる。
桜島を延々と歩き空腹だったこともあって、感激しながらあっという間に完食した。
ホテルは桜島が一望できる部屋。良いですね。
あと、ホテルのある地名が「与次郎」という思いっきり人名なもので、思わず二度見してしまった。
夕食はホテル近くにあった担々麺屋さんへ。評判の良いお店だったが、実際こちらも非常に美味しかった。
自分がもう少しグルメなら豊富な語彙で表現できたのになぁ……とにかく、鹿児島は美味しい食べ物が多い!
3日目
この日はあらかじめ決めていた場所へ向かうことに。そこはそう、指宿。
何度見てもこれで「いぶすき」と読ませるのは難解すぎると思ってしまうが、鹿児島を代表する観光地という判断から足を運ぼうと思った。
鹿児島から指宿までは、指宿枕崎線を利用する。特急も出ているが、時間が合わなかったことも通常の路線で1時間ほどかけて指宿に到着した。
こちらは思っていたより人が少なく、曇り空も相まってどんよりとした印象。この日が月曜だったからか、商店街はほとんどシャッターが降りていた。
指宿と言えば砂風呂!というわけで、砂風呂を体験できる施設へと向かう。
たどり着いたのは砂むし会館「砂楽」。施設内で説明を受け、浴衣に着替え終えたらいざ砂風呂へ。
砂風呂ではスタッフがあらかじめ掘ってくれていた穴に入り、上からどんどん砂をかけてもらう。砂は思っていたより重量があり、それがどかっと自分にかけられるのは生き埋めにでもされない限り中々できない体験だ。
注意点は、熱ければ「あっつ」と正直に言うこと。でなければ火傷の可能性もあるのではっきり言うのが大切だ。自分も腰と左足がびっくりするくらい熱かったので申し出たところ、温度を調整してもらえた。
完全に体が砂で包まれると、心臓の鼓動というか脈動を感じられる。
頭の中で常にドクッドクッという音が響いていた。これが「整う」ということか……。
砂風呂に入る時間は10分程度。それ以上は低温火傷になる恐れもあるらしい。
砂風呂から上がると汗びっしょりだったので、施設内の温泉で砂と一緒に流した。
思っていた以上にスッキリし、浜風が心地よく感じられる。これは良い。
砂風呂は当然撮影禁止なので、海をパシャリ。この辺りは地熱が高く、湯気が立ち上っている。
それにしても、観光客が思ったより少ないのが少し意外だった。有名な観光地だと思うんだけど……・
目標達成したこともあり、指宿駅へ戻るとちょうど土砂降りの雨。帰りは特急「たまてばこ」があったので乗車することに。外見はレトロながら、内装はおしゃれであり、車内販売もあった。
4日目
最終日、鹿児島市内をぶらぶらするのも良いなと思ったが、せっかく来たんだからと目指したのは知覧。バスで1時間ほどの距離には、有名な観光地である「知覧武家屋敷」がある。歴史好きとしては、やはり訪れておきたい場所だった。
観光で行くには難易度が高い場所、火曜日というど平日なこともあって、人影はまばら(なぜか蕎麦屋は大混雑だったが)。おかげでとても良い雰囲気が出ていた。
複数ある武家屋敷はどこも整備が行き届いており、当時の生活が伺い知れるものに。
欲を言えば室内にも入りたかったが、十分満足できるものだった。
看板でも説明されていたが、地理的にも沖縄(琉球)の影響を強く受けている建築様式に。独特の建物となっていて、「薩摩の文化だなー」と感じた。
ここに限らず、全体的に鹿児島の人は自分たちの文化を誇りに思っている印象を受ける。違っていたら申し訳ない。
飛行機の時間もあり、ここらで帰る選択肢もあったが、30分程度でも訪れたい場所があった。それが「知覧特攻平和会館」。知覧は沖縄戦へ出撃する特攻隊員が過ごした地であり、多くの資料が残されている地なのだ。
施設内は特攻隊員の写真や、残した手紙などが陳列されている。手紙の内容は家族への感謝や、隊員となった栄誉を強調するものが多い。
「きっとみんな誇りに思ってくれる」という記述も多く見られ、読んでいて辛いものがあった。
もう少し時間があればじっくり見て回りたかったが、帰りの飛行機の時間が迫っていたこともあって知覧を後に。
もう少し来やすい場所にあればな……と思わずにはいられなかった。
鹿児島空港へは鹿児島中央から送迎バスが出ている。40分程度はかかるので要注意だ。
全体的に満足できる旅になったが、帰りの飛行機が強風の影響によって羽田上空を1時間近く飛び続けることに。
揺れる機内での待機は非常にキツく、ある意味最大の試練だった。
とはいえ、初の九州旅は多くの収穫あり。鹿児島にはもう一回行きたい……トンカツが美味かった。
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