電研紀行:香川・愛媛編

歴史ある名所や自然豊かな景勝地が数多く点在する四国。一方で、地形上あえて行こうとしなければ訪れる機会の少ない地域であり、筆者もこれまで足を運んだことがなかった。しかし今回、四国のうち香川県、愛媛県を訪れるチャンスを得たため、ここで紀行文をしたためたい。

1日目

四国まで行くには飛行機を利用するしかないと思われがちだが、意外と新幹線・特急の利用も可能。まずは東京駅から岡山駅まで新幹線「のぞみ」を利用し、そこから西日本旅客鉄道と四国旅客鉄道が運航する「マリンライナー」に乗り換え。これによって、4時間程度で東京から高松まで行くことが可能だ。

マリンライナーでは瀬戸内海の景色が楽しめるが、あいにくこの日は天候が悪かったこともあり、「海が見えるな」程度の風景だったのが残念。それでも海の中を進んでいく体験にはテンションが上がる

高松駅は想像していたよりずっと整備されており、駅前も綺麗。海のすぐそばであることから、潮の匂いが感じられる場所だった。

駅から少し歩くと、見えてきたのが国の史跡にも指定されている高松城。三重櫓や一部の門、石垣、堀が現存するが、本丸を始めとする建物は失っており、やや残念な印象も。

案内板を見て初めて知ったが、ここは海城としては最大のものらしい。将軍家と縁の深い松平頼重(水戸黄門の兄貴)の居城だったこともあり、当時としてはかなりの規模だった模様。ただ、明治以降に埋め立て工事が進められたこともあり、現在は海に接しているわけではない。

ちょうど桜の季節ということもあり、地元の人も多く集まっていた。

高松城で少し驚いたのは、高松琴平電気鉄道(ことでん)の駅が密接していたところ。城と駅がくっついているのは珍しい光景……な気がする。そのことでんに乗って、一旦「瓦町」へと移動。駅前にはビルが立ち並び、こちらも賑わいを見せていた。

ホテルに荷物を置き、向かった先は栗林公園。国の特別名勝に指定されている巨大庭園には、瓦町からことでんを使って一駅。街の中心部からそれほど外れているわけではなかったが、予想を遥かに超える大きさだった。

13の築山と6つの池が設置されており、南庭コースと北庭コースの2つに分かれているのも特徴。ちなみに南庭コースの案内板には「徒歩60分程度」と書かれており、いかに広いかの証明になっている。

園内には桜を始めとして梅や菖蒲、蓮などが植えられており、ちょうど桜の季節ということもあり癒される光景が広がっていた。


天気さえ良ければ…。


猫もいた。

2時間以上を栗林公園で過ごし、再び瓦町へ。少し早いが夕飯にしようと思い、アーケード街の方へと足を運んだ。

香川と言えばうどん。夕飯はうどんにしようと心に決めており、インターネットで調べた人気店に向かう。

が。

すでに閉まっていた。リサーチ不足だったが、うどん屋の多くはディナー対応をしていないのだ。

完全に誤算であり、香川まで来て松屋(牛丼)や大阪王将(餃子)行きも覚悟したが、幸い開店していたうどん屋へ。注文した肉うどんはボリューム満点で、満足度の高い食事ができた。空腹に負けて写真は撮り忘れた。痛恨…。

2日目

翌日は早朝から特急いしづちに乗り松山へ。香川には栗林公園のほか、金刀比羅宮や小豆島などもあり、「1日で回るのは不可能だった…」という後悔も抱えながら特急に乗り込んだ。

あいにくこの日は悪天候で、外はどこまでも灰色の空が広がっていた。列車の窓から瀬戸内海を一望できるスポットもあったが、霧がかかっており何も見えず。函館に続いてまたも霧に破れる形になった。

2時間以上の電車旅を終えて、松山駅へ到着。高松駅が近代的だったのと対照的に、松山駅は非常にレトロ。「あれ、思っていたのと違うな」と思いつつ、路面電車と在来線を乗り継ぎ目的地である鷹ノ子温泉へと向かった。

雨足がますます強くなってきたこともあり、この日は主要な観光地へは行かずにホテル周辺を散策することに。いわゆる四国八十八ヶ所の一つであるお寺があったため、少し足を運んでみて。

愛媛に来たと強く実感した風景。袋詰めのみかんが本当にそのまま置かれていた。

ホテルの温泉にはお食事処も設けられていたため、夕飯はそこの「宇和島風鯛めし」をチョイス。卵黄とタレをかき混ぜ、鯛のお刺身を乗せたご飯へかける豪勢なスタイルであり、本当に美味い。これまで旅行で食べてきたご当地グルメの中でもトップクラスだったと思う。

もちろん、温泉も非常に広くて良かった。露天風呂などは源泉掛け流しを謳うだけあり、容赦ない熱さ。個人的に、休憩所がしっかりしている施設が好きなのでそれもまた良かった。ホテルの宿泊客は入り放題だったこともあり、体がふやけるくらい湯に浸かり続ける一日だった。

もちろん、温泉内の写真はなし。

3日目

この日は青空が広がっており、気分良く松山観光を開始(花粉も飛んでいた)。まず愛媛と言えば「道後温泉」だろうと、路面電車を利用して向かう。

いかにも温泉街といった雰囲気。熱海といい、温泉街は同じような雰囲気になるのだろうか。そんな感想を抱きながら歩いていると、前にけったいな壁が。

カラフリーだ。なんと道後温泉本館は現在改修工事中。営業中ではあるものの、混雑防止のため人数制限がかけられており、残念ながら断念することに。どう考えても時期ではなかったのだと、この時になって初めて知った。八つ当たりというわけではないけれど、この壁は景観的にどうかと思う。

別館は通常営業中。でも本館に入りたかった……。

道後温泉近くには、かつて湯築城があった道後公園が広がっている。残念ながら
建築物はほとんど残っていないが、青空と緑の芝生、満開の桜。花粉症さえなければ、もう少しのんびり過ごしたい場所だった。花が憎い。ちなみにこの近くには子規記念博物館があり、正岡子規の生涯を詳しく知りたいならおすすめだ。

道後温泉を後にし、続いて松山の誇るもう一つの観光スポットである「松山城」へ。城は勝山という城の山頂に建てられているため、ハイキング感覚で歩いたり、ロープウェイやリフトを使ったりして向かうことになる。ここは無難にリフトを選択した。

現存12天守の一つであり、多くの現存建造物が国の重要文化財に指定されている松山城。高松城や湯築城と違い、多くの櫓や城門が残されており、「日本の城を体感したい!」と思うなら一度は足を運ぶべき。平山城としてかなりの広さであり、当時の藩の力も窺い知れた。ちなみに松山藩は紆余曲折を経て松平氏が治めており、こちらも高松藩と同じだった。

城内の階段はほぼ90度といっても過言ではないような急勾配。昔ながらの姿が残る城は、
高齢者や子供に優しくないスタイルだ。

山頂に建っていることもあり、松山城の天守からは市内全域を見渡せる。ただし、花粉や黄砂などの影響もあってか、遠くの方は白く霞んでいた。

下城した後は、多くの観光客で賑わう街を散策しつつランチのため再び宇和島鯛めしのお店へ。口説いようだがとても美味しい。東京で宇和島鯛めしのお店を検索してみたが、ほとんどないようなのが残念。

その後はしばらく街中を散策した後で、松山空港から飛行機に乗り帰路に着いた。空港までのアクセスが地味に悪かった気がする。

香川、愛媛共に魅力的なポイントが多く、もっとゆっくりすれば良かったというのが正直な感想だった。瀬戸内海の温暖な気候で食べ物は美味しく、温泉もある(愛媛に)。徳島、高知には行けなかったが、近いうちに四国にはまた足を運びたい。

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