内部監査の信頼性を高める「外部品質評価」の重要性
近年、金融機関や企業において内部監査の役割は大きく変化しています。単なる準拠性確認にとどまらず、リスクマネジメントやガバナンスの有効性を評価し、経営に資する洞察を提供する機能が期待されるようになりました。このようなより高度化が求められる流れの中で、内部監査部門の品質を客観的に評価する仕組みが外部品質評価(External Quality Assessment:EQA)です。
内部監査に求められる品質評価
内部監査の国際的な基準を策定する内部監査人協会(IIA:The Institute of Internal Auditors)は、内部監査部門に対して品質保証・改善プログラム(Quality Assurance and Improvement Program:QAIP)を整備することを求めています。
IIAによる「内部監査の国際基準(International Standards for the Professional Practice of Internal Auditing)」は、以下の通りです。
「内部監査部門は、品質保証および改善プログラムを策定し、維持しなければならない。また、少なくとも5年に1回は独立した外部評価を実施する必要がある。」
(IIA, International Standards for the Professional Practice of Internal Auditing, Standard 1300 / 1312)
この基準は、内部監査部門が自己評価だけでなく、独立した第三者による評価を定期的に受けることでその品質と客観性を担保することが目的となります。
外部品質評価の目的
外部品質評価の主な目的は、内部監査活動が国際基準に準拠しているかを確認することだけではありません。実務上は、次のような観点で評価が行われます。
- 国際基準への準拠状況の確認
内部監査の活動がIIAの基準や倫理綱領に適合しているか評価します。 - 内部監査の有効性の評価
監査計画の策定、リスク評価、監査手続、報告プロセスなどが、組織のリスク管理やガバナンスに十分貢献しているか確認します。 - 改善点の特定
監査プロセス、組織体制、人材育成などについて改善余地を明確化します。
IIAのガイダンスを見てみても、外部評価は単なる「適合性チェック」ではなく、内部監査の成熟度を高めるための重要な機会であるとされているため、ここは内部監査部門としてもしっかり把握しておきましょう。
経営にとってのメリット
外部品質評価は内部監査部門だけでなく、経営にとっても大きな価値がある点に注目です。
第一に、内部監査への信頼性が高まることです。第三者が監査機能の品質を評価すれば、取締役会や監査委員会は内部監査の有効性をより客観的に把握できます。高品質と評価された場合、安心して内部監査を部門に託せるようになるでしょう。
第二に、ガバナンスの強化につながることです。IIAは内部監査を「ガバナンス、リスクマネジメント、内部統制を改善するための独立した保証および助言活動」と定義しています。
(IIA, Definition of Internal Auditing)
外部品質評価により内部監査の機能が強化されれば、結果として組織全体のガバナンス向上につながります。
第三に、内部監査高度化の方向性が明確化することです。外部評価では、他社のベストプラクティスや国際的な監査手法を踏まえた改善提案が示されるため、内部監査のレベルアップに直結します。
日本企業における重要性の高まり
現在、日本においても内部監査の高度化は重要なテーマとなりつつあります。金融庁は金融機関の内部監査について、経営に資する監査の実施や高度化を求めている点は見逃せません。金融庁の指摘は、以下の通りです。
「内部監査は、単なる事後的な検証にとどまらず、経営に資する機能を発揮することが重要である。」
(金融庁「金融機関の内部監査の高度化に向けた現状と課題」2019年)
こうした流れがより顕著となりつつある中で、外部品質評価は内部監査の高度化を進めるための重要な手段として位置付けられています。
外部品質評価を成功させるポイント
外部品質評価を効果的なものにするためには、いくつかのポイントがあります。
まず重要なのは、内部監査の実務を理解した専門家が評価を行うことです。IIAの基準においても、評価者には「内部監査の専門的知識と経験」が求められています。
また、単なるチェックリスト型の評価ではなく、
- 監査プロセス
- 組織体制
- 人材スキル
- 経営への付加価値
といった観点から、総合的な分析が重要となるのは間違いありません。
さらに、ただ評価結果を受け取るだけでなく、それを内部監査の高度化につなげることが何より重要です。外部品質評価は「評価を受けること」が目的ではありません。内部監査をより価値ある機能へ進化させるためのプロセスとして、活用すべきものです。
内部監査の高度化に向けて
内部監査を取り巻く環境は、急速に変化しています。リスクが多様化し続けている現状では、経営から求められる監査の役割も拡大しています。
その中で、外部品質評価は内部監査の客観性と信頼性を高め、さらなる高度化を実現するための重要なステップと言えるでしょう。
外部品質評価の実施をご検討されている場合は、内部監査の専門資格であるCIA(Certified Internal Auditor)を有する専門家に相談する必要があります。
当社には、内部監査の国際資格であるCIAを保有し、内部監査の実務や高度化支援に精通した専門家が在籍しております。外部品質評価の実施や内部監査の高度化をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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