豊富な歴史と豊かな自然を持ち、アニメの聖地としてもよく登場する飛騨高山。外国人観光客からの評価も高まる一方なこの街に、日本人でありながらこれまで足を運んだことはなかった。
でも『氷菓』も『君の名は。』も好きだし、一度は行っておきたい……そんな思いから、今回の旅先は高山に決定した。今や熱帯と化した日本の7月でも、比較的過ごしやすいはずという思惑もある。
1日目
東京から高山まで交通機関を利用して向かう場合、2つのルートがある。一つは東海道から向かうパターン、もう一つは北陸から向かうパターンだ。いつも旅行で東海道新幹線を利用していることもあり、今回は北陸新幹線→特急ひだを利用するコースを選択した。
正直ルートについては失敗したかもしれない……。北陸新幹線はトンネルが多く、特急ひだもトンネルが多い。そして特急ひだは富山から飛騨地方へ入るまでやたら揺れた。
大雨によって特急が遅れるハプニングも乗り越え、高山に到着。思いの外、駅が綺麗である。そして嬉しいことに、この日の東京は40℃近い灼熱地獄だったが、高山はいかにも梅雨といった天気で、湿気こそあるも気温は高くなかった。
ホテルに荷物を置き、早速高山市名物である「古い町並み」へと向かう。古い町並みは本当に「古い町並み」という名称らしい。ほかに呼び方はないのかとも思ってしまうが、意外と難しいのかも。「江戸の町並み」というのも変だし。
町並みは期待通りの風情あるものだった。牛串、肉寿司など飛騨牛を前面に押し出したものから、和菓子系までさまざまなお店が立ち並び、お金を持っていそうな外国人観光客にアピールしている。
富山ほどではなかったものの、高山も小雨ぱらつく生憎の天気。とりあえず室内でゆっくりできる「飛騨高山まちの博物館」に向かうことにした…のだが、なんと休館日。調べてみると、基本無休らしいのだが日曜日まで臨時休館だったらしい。なんてタイミングが悪い。
雨脚が強まる中、行き先をなくした男はとりあえず神社を目指すことに。「古い町並み」から少し離れ、山のほうへ向かっていくと「飛騨護国神社」が見えてきた。
観光地から少し離れていることもあり、人影はほとんどなし。それでも、お参りを済ませて帰ろうとしたときに「スペイン人のお客さんが禅を学びたいと言っているんでわ」と職員の人たちが話し合っていた。異国で禅の心を学ぼうとする意識、凄い。
到着が少し遅かったこともあり、気づけば時刻は夕暮れ。そろそろ夕飯を食べるところを探そうと、日が差し始めた高山の街をブラブラ歩いていたが、ここで問題が発生した。
入れるお店がない。飛騨牛のお店はどこも外国人観光客が殺到しており、待ち時間があるどころかすでに入店お断りのお店もあるほど。観光客の数と比較して、お店の数が少ないのでは…という印象を受けた。
それでも何とか空いているお店に入り、高山ラーメンと肉寿司を注文。高山ラーメンは細いちぢれ麵が特徴であり、スープもあっさりなので食べやすい。肉寿司は初めて食べたが、とても柔らかくて美味だった。
2日目
高山2日目は前日と打って変わって快晴。今日はあらかじめ決めていた「世界遺産・白川郷」へ足を運ぶ予定になっていた。ただ、移動に使う高速バスは満員の便が多く、13時前のバスで移動することに。移動時間自体は50分前後だったので、観光する時間は十分あるという計算だ。
午前中は時間が空いていたので、再び「古い町並み」へ。午前中は観光スポットともされる「宮川朝市」が開かれているらしく、そちらへ向かってみた。
中々の人だかり。炎天下の中でも多くの出店が立ち並んでおり、活気にあふれている。すぐ近くを川が流れているからか、木陰に入ると涼しさも感じた(それでも暑かったが…)。
朝市を見つつ、近くにあるとされていた日下部民芸館へ向かう。ここは代官所(飛騨郡代)の御用商人を務めた家であり、江戸~明治時代の生活用具などが展示されている。
家の雰囲気も◎。御用商人だっただけあり家は非常に広く、豊かな生活をしていたことが想像できる。冬は寒かっただろうな……とも。
囲炉裏のある家、良い。
日下部民芸館のすぐ近くには吉島家住宅もあったが、バスの時間が迫っていたこともあってひとまず駅のほうへ。また来ることがあれば、今度は吉島家のほうにも行ってみたい。
高山濃飛バスセンターは高山駅のすぐ隣にあり、ここから高速バスに乗車。50分程度での移動だったが、道中は山道も続くので乗り物に酔いやすい人は要注意と言える。
バスでは爆睡。スマホの充電用ソケットもありありがたかった。
白川郷に到着すると、高山市よりさらに涼しい風が感じられる。が、周囲に遮る高層階の建物がないこともあり、容赦なく日差しが注ぐのが辛い。
白川郷はもっと「村」という感じかと思ったが、道路などは整備されていてとても綺麗だった。木々と川と合掌造りの家からなる、独特の空間。歩いていると、本当に昔にタイムスリップしたような感覚だった。
白川郷には一般公開されているいくつかの家屋があり、その一つである「和田家住宅」へ。急勾配の三角屋根を家の中から眺めることができるほか、白川郷の歴史について紹介する資料なども置いてある。家の中は涼しいので、ここで少し体力を回復。
その後も白川郷をブラブラと歩く。土産物屋や民宿、ちょっとしたお食事処はあるが、当然コンビニなどはなく集落全体が風情あるものだった。ここで暮らすとなると少し大変そうだが…。
それにしても暑い。持っていた冷たい麦茶もすでにお湯のようになっていた。
一通り歩き回った後で、展望台があることに気づく。少し迷ったが、「せっかく来たんだから」精神もあり向かうことにした。
すでに体力ゼロの中での山登り…。途中でやはり帰ろうかと何度も思いつつ、何とか展望台まで到着。
見晴らし、良し。白川郷は思っていたよりずっと広いんだなと初めて知った。この辺は本当に実際訪れてみないとわからない部分だなと実感しつつ、帰路に就くことに。もう少し歩きやすい季節に、また来たいと思った。
今日は何としても飛騨牛を食べる。この強い信念を持ち、夕食はあらかじめ予約していた焼き肉屋に。予約は17時からのみ受け付けていたので、すごく早い夕食になった。
6000円超えのセットメニュー!高いが関係ない。今日は飛騨牛を食べると決めていたのだ。とても美味しかったです。タレはもう少し味が濃いほうが好みだったけど。
3日目
白川郷にも行き、飛騨牛も食べた。今回の旅の目標はほぼ達成して迎えた3日目は、初日休館だった博物館に向かうことに。
この日も曇り空。まぁ炎天下よりは良いか。
博物館はなんと無料。しょぼいのか…?と思いつつ中に入ると、普通に広い。展示内容も飛騨の歴史や飛騨を治めた金森氏の歴史がよくわかる物が多くそろっており、気前が良すぎるのではとかえって心配になった。京都なら最低500円はとっていると思う。
続いては博物館から近い位置にある高山陣屋へ。飛騨は江戸幕府の直轄地であり、お城などはない(戦国時代はあった)。代わりにこの高山陣屋が行政の中心地だったとのことだ。
約300年に渡って実際に利用されていた施設を見られるのは、なかなか貴重。大広間はもちろん、炊事場なども見られるのは嬉しい。今でこそ暑いが、江戸時代にこの地はさぞ寒かっただろう……。
ここも見るところが多く、非常に充実したスポットだった。飛騨に行って歴史が興味があるなら、ぜひ訪れてみてほしいところだ。
特急ひだの時間が迫っていたこともあり、今回の旅はこれでおしまい。有名な観光地にはだいたい行った気もするが、過ごしやすい季節にまた来たい。そう思わせてくれる場所だった。外国人観光客はもう少し減っていてほしい……。
あと、お土産に買った「ハンバ具ー」がとても美味しかったです。ありがとう飛騨高山!
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