1日目
中国地方最大の都市であり、日本三景の一つとされる「安芸の宮島」もある広島。東京や京都に飽きた外国人観光客からの人気も高まっており、いずれは非常に混雑する可能性も。そうならないうちに、秋も深まる季節の旅先として選んだ。
広島までは、新幹線を利用することに。おそらく飛行機を利用した方がはるかに早いとは思うものの、空の旅への恐怖感は依然としてあるので陸路を採ることに。新幹線での移動は5時間近くになるため、よほど事情がなければ飛行機がおすすめかもしれない。
広島駅は政令指定都市の中心駅だけあって、さすがの広さ。紅葉のシーズンはまだ先にも関わらず、多くの観光客でごった返していた。
広島市内は広島電鉄の運営する路面電車を利用することで、宮島口など基本的な観光地には行けそうである。函館や松山もそうだったが、個人的に路面電車のある街は好きは良い。東京を離れて新しい住処を探すなら、条件の一つになるかもしれない。
路面電車で八丁堀まで移動。ホテルに荷物を置き、目指した先は原爆ドーム。広島に来たら、足を運んでおくべき場所だと思う。普通は路面電車やバスを利用すべきところ、地図を見ると行けそうだと判断してとりあえず徒歩で向かってみることに。広島は思っていたより街がコンパクトで、頑張れば徒歩でも十分に街中を回れる(頑張れば)。
広島平和記念公園は、予想していたより広く綺麗な公園だった。街全体にも言えるが、数十年前ここに原爆が落とされたなんて、前知識がなければ気づけないよなと感じる。
平和記念資料館にも行きたかったのだが、ご覧の通り凄まじい人の列。時間的に、ここを並んでしまうと他の観光地に行けなくなる……。中を見ると誘導に従ってじっくりとは見られない感じでもあったため、苦渋の判断ではあったが資料館は断念することにした。
世界的にも有名な原爆ドーム。敷地には入れないようになっており、厳粛な雰囲気が漂っている。外国人観光客がドーム前にある展示品を熱心に眺めていたが、たとえばアメリカ人はこれを見てどう感じるのかは気になるところ。
原爆ドームを観た後は、歩いてすぐの場所にある広島城へ。広島は毛利氏の本拠地であり、その後、福島正則を経て浅野家の本拠地になった。その中心となったのがこの広島城だが、こちらも残念ながら原爆で跡形もなくなってしまったので現在はコンクリート造りで復元されており、内部は資料館になっている(一応、木造で建て直す案も出ているらしい)。
それでも、天守閣まで登ると広島市内を一望できた。ちょうど夕暮れ時だったこともあり、とっても情感ある風景が撮れた気がする。
ちなみに城のすぐそばには、サンフレッチェ広島の新たな本拠地となるスタジアムが建設中だった。完成したら、また来ても良いかもしれない。
陽が落ちたこともあり、夕飯を食べる場所を探すことに。広島のグルメと言えば、何よりもまずお好み焼きだ。広島焼きとは間違ってもいけない。調べてみると、八丁堀近くにある「みっちゃん」というお店が人気店なのだとか。
どう考えても混むだろうと考え、18時前に店へ向かった……が、すでに店前には長蛇の列が。見た感じ、地元客と観光客が半々くらいの割合。地元客も多いということは、きっと本当に美味しんだろうなと期待しながら列に並ぶ。思っていたより回転は早く、15分くらいで店内に入れた。
広島のお好み焼きらしく、焼きそばが入っている。自分は関西の方のお好み焼きしか食べたことがなかったので新鮮だった。焼きそばが入っている分だけとてもボリューミーで、満足感が高い。お好み焼きはお好み焼きなので、特にすごく何かが特徴的というわけではないが、美味しかった。
そして焼き牡蠣。広島といえば牡蠣が有名だ。正直、そこまで牡蠣が好きというわけではなかったが、これはとてもクリーミーで美味しかった。焼いているから当たる心配がないのも大きい。旅先で牡蠣に当たるのは恐怖である。
さらに、豚のホルモンのポン酢づけも思っていたより美味かった。美味いしか言っていない。
総じて、さすが人気店だけあって本当に満足なメニューだった。この夜だけで広島のグルメを堪能できた気がする(もみじ揚げは結局この旅行中に食べず)。
2日目
この日の目的はただ一つ。それが日本三景としても名高い「安芸の宮島」である。広島に来たら、絶対に行っておくべき場所のはずだ。
宮島へ行くにはまず「宮島口」まで向かう必要があり、これはJRも路面電車も駅があるため移動は簡単。自分は数十分、路面電車に揺られながら向かったが、スピードを重視するならどう考えてもJRの方が早いので要注意だ。
宮島口から宮島までは、フェリーを利用する。フェリーには2種類あるようだったが、違いはよくわからなかった(片方は蒸気船?)。そしてここでもとにかく外国人観光客が多い。本当に。もし、外国人観光客だけこの場から姿を消したら、かなり閑散とするのではと思うほどだ。大混雑に係員も殺気立っており、思いっきり「ライトサイドプリーズ!」と言われた。日本人だけど意味はわかったので大人しく従った。
宮島まではフェリーで10分程度。もう少しゆっくりでも良いなと思ったが、遊覧船ではなくあくまで移動手段としてのフェリーである。
宮島に到着。今まで宮島は厳島神社がある島というイメージしかなかったが、そもそも島自体が大きく旅館や出店もかなり多い。
鹿もいる。
全体的に温泉街のような雰囲気もある中を歩き、目当ての厳島神社へ。あちこちを鹿が我が物顔で歩いていたが、奈良公園と違ってあまりフンは落ちていなかった気がする。糞まみれの神社は流石に嫌だしね。
しばらく歩いていると、見えてきたのは厳島神社を代表する海の中の鳥居。残念ながら、行った時間帯はちょうど干潮であり、本殿などの方には水がない状態だった。
本殿内に入るには受付を通る必要があるが、ここも長蛇の列。平和記念資料館、みっちゃんに続き、ここも長ーい人の列である。広島は人が多いのか……。本殿は整備されていてとても綺麗だったが、やはりここは満潮時に行ってこそな印象。ただ、本殿の下に降りられるのは干潮時ならではの魅力であり、両方の魅力を堪能したいなら1日かけているべきだろう。
のんびり写真を撮っていると、「何か水が増えている気がする」と気がついた。意外と早く潮が満ちそうだったので、どこかで時間を潰すかと判断。厳島神社近くにある宮島水族館に行くことにした。
道中は親子連れが二組いるだけで、「ここまで来ると観光客っていないんだ」と思っていたが、とんでもない見込みの甘さ。館内に入るとここも人でごった返していた。ここは外国人観光客というより、子供連れ(日本人)が多め。
水族館はイルカやエイ、クラゲ、カブトガニ、爬虫類などなど、思っていた以上に色々な海の生き物がいて楽しめた。瀬戸内海に面しているもの大きいのかもしれない。もう少し広さがあれば文句なしだった。
水族館を後にし、再び厳島神社へ。かなり潮が満ちてきており、先ほどまで自分が立っていた場所はすでに海の中。10月の割に気温も高めだったこともあり、非常に潮風が心地よかった。この後、ロープウェイで山頂へ行こうと試みたのだが、何と50分待ち。丁寧に、「帰りも同じくらい待ち時間があります」との看板があったので、ここも断念することにした。しっかり観光を楽しみたいなら、がっつり休みをとって平日に来るしかないのかも。
夜は尾道ラーメン。あっさり醤油味。昔から鶏ガラとかスープの味はいまひとつわからない……。
3日目
2日間を広島で過ごし、この日は倉敷に寄ってから京都へ向かう……はずだった。予定通り広島駅から新幹線に乗ったのだが、なんと尾道でストップ。この日は東海道新幹線沿線で火災があったらしく、再開見込みも未定とのこと。余りにもタイミングが悪い。2時間近くにわたって運転が見合わさせれることになり、予定は完全に狂ってしまった。
駅から撮った悲しみの尾道
ここから倉敷に寄り、そこから岡山に向かって新幹線で京都……となると完全に日が暮れてしまう。考える時間はたっぷりあったので熟慮した結果、そのまま京都に向かうことにした。
広島の人の多さの時点で覚悟はしていたが、当然京都はそれをさらに上回る混雑っぷり。新幹線遅延の影響もあってか、そもそも改札から出るまでも時間がかかるレベルだった。それでも何とか駅を出て、ホテルにチェックイン。すでに日は傾きつつあったこともあり、三十三間堂に向かう。
バスは凄まじい列ができていたため断念。今回、「長蛇の列」を書きすぎているのでここでは割愛した。仕方なく、徒歩で三十三間堂を目指すことに。意外と徒歩でも十分いける距離ではあり、前日の宮島観光でボロボロになっている足でも持ち堪えることができた。
閉館間近だったからか、観光客はまばら。心なしか、自分が行く時の三十三間堂はいつもそこまで人がいない印象がある。今回、境内で工事が行われており、いつもは静かな堂内にガガガガガ!という音が延々に響いていたのが残念ではあった。それと、修学旅行生が数人いてガイドのおじさんの話を聞いていたが、ほぼ全員興味なさそうな表情をしていて笑ってしまった(ガイドの話し方も問題だった気がする)。
夕食をとった後は、夜の京都を探索。目玉はやはり伏見稲荷大社だ。昼間は足の踏み場もないレベルの混雑っぷりだが、夜間は本当に数える程度の人しかいないこの場所。境内は必要最低限の灯りがあるのみで、幻想的な雰囲気が漂っている。
千本鳥居の雰囲気もこの通り。一歩間違えたらホラーである。歩いていて呪文のような声が聞こえてきて流石に恐怖したが、外国人観光客が電話をしているだけだった。紛らわしいからやめて。
本当は山頂の方まで行きたかったが、流石に断念(何か前回も同じこと言っていた気がする……)。いつかは山頂を目指したいが、そもそも灯りはどの程度あるのかが気になるところだ。夜も更けるにつれ、寒さが増してきたのでここで撤退することにした。
駅もやたらと雰囲気が出ている
4日目
最終日は悩んだ末、嵐山へ向かうことに。京都へ行ったらここに行かないとねといった感じだ。普段は京都駅からバスを使うが、前述した事情から今回は電車を乗り継いで行くことにした。正直、電車のほうが早いのは間違いない。
日本屈指の観光地である京都屈指の観光スポットだけあり、嵐山はすごい人だかり。どれだけ凄いかと言うと、いつもは閑散としている常寂光寺ですら賑わいを見せていた(少しショック)。
ただ、二尊院、清涼寺、大覚寺と中心から遠ざかるにつれ、人もどんどん減少。特に大覚寺は非常に広い境内や大沢池があり、ここだけでもしっかり時間を使えるためおすすめだ。「人のいない京都の観光地に行きたい」と思う人には、ここをお薦めしたい。
嵐山駅から徒歩は流石に遠いため、向かう際はバスを利用すべきだと思う。自分は徒歩で向かったため、足が棒になった。ただ、道中は京都らしい風情のある街並みもあるので、時間と体力に余裕があるなら歩いても良いかもしれない。
本当はもう少し市内を散策したかったのだが、残念ながら帰りの新幹線の時間に。やはり京都は良い……また近いうちに来ようと思いつつ、帰路に着くことになった。
今回、初めて広島を旅することになったが、数十年前に原爆を落とされたとは思えないくらい緑の多い綺麗な街だった。宮島は「流石日本三景の一つ」と言って良い場所だったので、一度足を運んでみてはいかがだろうか。ただ、観光客の多さは覚悟するべきだ。
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