電研紀行:京都編

古くから日本の中心地として栄えてきた京都。現在も日本屈指の観光地として、国内外から多くの観光客が古都を訪れている。

何を隠そう、自分も学生時代から何度もこの地を訪れている観光客だ。ヘビーユーザーと言っても過言ではない。観光名所の多さだけでなく、なんとなく心を落ち着かせてくれる魅力がこの地にはあるのだ。観光客の多さを除いて(自分もだが)。

今回訪れたのは12月。紅葉もほとんどが散り、クリスマスはまだの隙間期間であり、比較的人は少なかった。 

いつものように新幹線を使い、昼過ぎに京都駅に到着。冬至が近いこともあり、すでに日が傾きかけている中、急いで最初の目的地へと向かった。

上賀茂神社

出町柳から程近く、鴨川沿いにある下鴨神社は常に多くの人で賑わっている。対して、京都でもっとも古い神社ともされる上賀茂神社は、交通の便がいまいち(京都駅からバスで30分程度)なこともあってか、やや知名度に劣る印象。自分もこれまで足を運んだことがなかったため、今回が初となった。 

御生山が背後に聳えていることもあり、とても雄大な景色。やはり観光客も多くなく、風の音がよく聞こえる(寒い)。 

 境内はとても広く、至る所に重要文化財が。後で調べたところ、国宝2棟、重要文化財41棟が境内にあるとのことで、ここだけで博物館が開けそうだ。本当にもう少しアクセスがよければ、ここも多くの観光客が来るだろうと感じた。

下鴨神社

 せっかく上賀茂神社に来たのだからと、その足で今度は下鴨神社へ。ただ、2つの神社は近くにあるわけではなく、時間も考えてバス移動を選択した。

 境内はちょうど結婚式などが開かれていたようで、多くの人で賑わっていた。また、下鴨神社には水みくじ(紙を水につけることで文字が浮かび上がるおみくじ)があり、多くの人が川に紙をつけている姿も。宗教っぽいなと思ったが、そもそも宗教だった。

こうして写真を撮っている間にも、驚くくらい多くの人が参拝にやってきていた。寒さが増していたこともあり、参拝を済ませ神社を後に。 

下鴨神社は森の中にあり、夏には古本市もここで開催されている。冬は流石にやっていないようだ。

 「京都と言えば?」と聞かれたら、自分は鴨川と答えるかもしれない。夕暮れの空を見上げると相当数のトンビが飛んでおり、多少の恐怖を覚えた(ヒッチコック)。 

鴨川をのんびり歩いた後は、バスを利用して京都駅近くのホテルに到着。小休止を挟み、すっかり日も暮れた中で駅へ。何を隠そう、今回の旅行のテーマは「夜の京都」である。

JRを利用して、「稲荷駅」へ。電車が遅延するアクシデントに見舞われながらも、京都屈指の観光名所である「伏見稲荷大社」へ到着した。 

ここは京都に来たらほぼ確実に訪れる場所だが、夜に来るのは初めて。特に入場制限などはなく、この時間帯独特の雰囲気を堪能できる。

 当然、日中に比べると人の数も少ない。境内はライトアップされているため、異世界感が楽しめた。

千本鳥居も夜になるとこの通り

 行こうと思えば山の上まで行けるようである。ただし、体力的な問題と「戻ってこられないんじゃ?」という恐怖もあり、今回はやめておいた。

 

2日目

朝から目的としていた嵐山にバスで向かう。京都駅近くに泊まるならバス、四条近くに泊まるなら在来線を使うのがおすすめだ。

 

良い天気。この日は日曜日ということもあり、多くの人で賑わっていた。

まずは天龍寺……と言いたいところだったが、入り口の時点で大混雑だったため回避(異常な人混み嫌い)。

竹林の小径を抜けて、向かった先は常寂光寺。渡月橋や天龍寺などの中心部から少し離れた距離にあるため、桜や紅葉の季節を除けば比較的閑散としているお寺だ。

 今回も数える程度しか人はいなかった。静かな境内からは嵯峨野エリアを一望できるため、心身ともにリラックスできる。

 ちなみにこのお寺は関ヶ原の戦いにおける裏切り者として有名な、小早川秀秋の助力によって整備されたらしい。戦国大名好感度調査を実施したら間違いなく最下位近辺になりそうな人物だが、良いところもあったのだ。

 常寂光寺を出た後は、すぐ近くにある二尊院へ。紅葉の名所として知られる地は、ピークこそ過ぎたもののまだ彩りが残っていた。

 

こちらも常寂光寺同様、旬の季節以外は閑散としている。境内にはちょうど読経の時間だったらしく、お経が鳴り響いていた。

ここは小倉百人一首の藤原定家ゆかりの地でもある。今でも京都中心地に比べると気温が低いと感じるが、当時はどれほどだったのだろう。

二尊院を出てから、通常なら竹林の小径を抜けて渡月橋の方へと戻るのだが、今回はちょっとした心境の変化からトロッコ嵐山に乗ることにした。

嵯峨野観光鉄道の路線であるトロッコ嵐山。トロッコ嵯峨~トロッコ亀岡間を走行する観光専用鉄道として、人気を集めている。走行中には嵐山や保津峡の美しい景色を一望できるのが魅力だ。乗車していると、なんとなくディズニーランドのウェスタンリバー鉄道を思い出した。

亀岡に着いてもすることがないため、すぐに往復の車両に乗車。行きは立ち見席しかなかったが、帰りは座れたためよりのんびり景色を楽しめた。ただ、座席が固いのもあって少々腰に負担があったのは否めない。また、走行中は写真撮影のサービスがあるのだが、やたら料金が高いのとデジタル対応していないこともあってか、ほとんどの人が断っていた(もちろん自分も)。

一旦ホテルに戻った後は、夜の祇園へ。夕飯を終えた後は、祇園東端にある八坂神社へと足を運んだ。

こちらも前日の伏見稲荷大社と同じく、人影は少なめ。夜の神社はなぜこんなにも妖しい雰囲気があるのか。ちょうど月が出ていたこともあり、より一層雰囲気が出ていた。八坂神社はむしろ夜がおすすめかもしれない。

鳥居の向こうは別の世界でした。

3日目

宇治川

旅行最終日も晴天。午前中は洛外にある宇治の方へと向かうことにした。

来年の大河ドラマの主役になる人。1年間にわたって放映するだけの素材があるんだろうか。

宇治最大の観光名所とされるのが、この平等院鳳凰堂だ。平安時代の関白・藤原頼通によって建立されたこの地は世界遺産にも登録され、国内外から多くの観光客が訪れる。

 

青空に国宝でもある鳳凰堂がよく映える。2014年に修繕が終わったばかりで、建築物の状態も良好。建設当初はより色鮮やかだったらしく、「極楽浄土を体現した世界」だったという。当時の藤原氏の権勢が窺い知れる建築物だ。 

平等院鳳凰堂には「鳳翔館」というミュージアムがあり、いくつもの重要文化財が展示されている(撮影は禁止)。別料金を取られるわけでもないため、おすすめの場所だ。

 

こちらもまだ紅葉の名残があった。

京都に戻るも帰りの新幹線までまだ時間があったため、七条にある蓮華王院、通称「三十三間堂」へと向かう。整然とした空間に千体の千手観音像が並ぶ堂内は独特の雰囲気を醸し出しており、京都に来たら必ず向かう場所だ。

残念ながら堂内は撮影禁止。修学旅行の学生や外国人観光客が真剣な表情で仏像を見つめており、個人的にそうした姿を眺めるのも楽しみになっている。中年の女性が「モナリザのよう」と記載された像を見て「絶対モナリザよりこっちの方がええやろ」と言っていたことには同意したい。

これまで幾度となく足を運んできた京都。季節やその時期によって異なる表情を見せてくれる古都の魅力は、依然として色褪せていないと強く感じる。

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