日本三景の一つとして名高い天橋立。日本海・宮津湾に面した名勝であり、京都の誇る観光地の一つだ。 全長約3.6kmの人口砂州には、約5000本とも言われる松並木が続いており、どこか神々しい雰囲気を放っている。 日本人であれば、一度は足を運びたいスポットであることは間違いないと思う。 ただし、京都からのアクセスは車がない限り決して良いとは言えず、軽い気持ちで訪れられる場所ではない。 そんな天橋立に、今回向かうことになった。
京都駅から2時間以上!
京都駅から最寄駅である天橋立駅までは、在来線を利用すると2時間程度かかる。 ちなみに、東京から京都まで新幹線「のぞみ」を利用すれば2時間12分程度となるため、いかに遠いかわかってもらえるはずだ。 しかも、「はしだて」という2時間に1本程度しか運行していない路線を逃した場合、 下手すると3時間近くにまで移動間隔が延びてしまう可能性があった。 現地滞在時間を多く確保するため、確実に「はしだて」に乗りたいところ……だったのだが、ちょうど良いタイミングの新幹線がなし。 幸いにしてJR山陰本線「きのさき」と京都タンゴ鉄道「丹後リレー」を乗り継ぐことで、大幅なタイムロスは免れた。
天橋立駅に到着!
東京駅からおよそ5時間をかけ、天橋立駅に到着。 旅行では列車から見る風景も楽しみにしているのだが、ほとんどがトンネルだったのは残念だった。 ちなみにお昼は京都駅で買った駅弁。駅弁の牛肉弁当はだいたいどこも同じ味がすると思っている。 駅は思っていたよりも広く、綺麗。 待合室はもちろん、ちょっとした軽食をとれる売店があり、構内にはピアノも置かれている(調整中か何かで弾けるわけではなかった)。 とはいえ、駅が目的ではないため早々に出発。
駅を降りると、風情のある通りに出た。京都駅周辺とは違い高い建物はなく、観光客もそこまで多くない。 案内板に従い、まずは天橋立全体を見渡せる「天橋立ビューランド」へ向かうことにした。 文殊山にあるビューランドへは、「モノレール」と「リフト」どちらかを利用することになる。 モノレールは発車時間の間隔が長いこともあり、ここは迷わずリフトを選択した。
昔からリフトを利用するのは苦手。スノボを滑りに行った際の最難関と言っても良かった(特に降りる時)。 今回は足に板を装着しているわけではなかったが、それでも乗るのに戸惑い係員のお兄さんから失笑を買った。
思っていたより高くまで登る。仮にこれを歩きで登るとなっていたら、かなりの体力を費やしたはずだ。文明の進歩に感謝。 後ろを振り返るとなかなかの絶景だった。 山頂に着くと、真っ先に飛び込んでくるのは天橋立……ではなく観覧車。
天橋立ビューランドは、ただの展望台ではなくちょっとした遊園地となっている。 観覧車のほか、サイクルカーやメリーゴーランドなどがあり、そのためか子供たちがとても多かった。 ただ、本当に小さな遊園地なので子供連れか童心を忘れていない大人でない限り、 心からエンジョイはできないかもしれない。ゴーカートは少し乗ってみたかった。
大人はこちらを楽しむべきなのだろう。流石に山頂から望む天橋立の姿は美しく、天気の良さも相まって非常に開放感があった。 そしてこの天橋立で有名なのが「股のぞき」。 これはまず景色を背にしてから上半身を屈め、自分の股の間から覗き見ると、まるで天橋立が龍のように見えるというものだ。 大勢の人でにぎわう中、一人でこれをやるのはなかなかに勇気が必要。 とりあえずやってみることに。「龍…? 龍かな? まぁ龍だな」 あまり屈んでいるのは腰にも悪いため長時間はできなかったが、確かにそこには龍がいた。
この日は5月とは思えない暑さだったが、風が強く木陰は爽やか。 降りについても登り同様にリフトを使用した。 登る際は景色を見ようとするとバランスを崩しかねない危険性を秘めていたが、 降り時には天橋立の姿をよく目にすることが可能に。 スマホで写真を撮る際は落とさないよう要注意だ。
ここからはいよいよ天橋立へ。 道中には土産物屋が立ち並び、休憩スペースも数多く用意されているため安心だ。 自分は帰りの電車を考え、休む暇もなく目的の場所へ。
天橋立ビューランドから見下ろしていたときも感じていたが、思っていたよりも広い。 砂浜は完全にビーチであり、子どもたちが浜辺で遊ぶ姿が見られた。 自分も海に近づきたかったのだが、スニーカーが砂で埋もれる危険性を加味し、遠くから写真を撮影するにとどめた。
潮風を満喫したあとは、いよいよ松並木のウォーキングを開始。気になったのは時間だ。 帰りの電車までの時間は残り1時間を切っており、往復の時間が確保できるかは微妙に。 かなりの早足(というよりはランニング)でもしない限り難しく思えたが、とりあえず行ける所まで行く精神で出発。
松並木のウォーキングはとても気持ちが良かった。 歩けば歩くほど、周囲に人影はなくなり、辺りを包むのはさざ波と風が木々を揺らす音のみ。 そもそも天橋立を往復するなら、自転車を利用する人がほとんどのように思える。
江戸時代の俳人、松尾芭蕉の句碑もここにあった。
一声の江に 横たふや ほととぎす
今でもこの地までやってくるのは相当な時間が必要だが、当時の人たちはどれくらいの時間をかけてここまで来たのだろう。
「夫婦松」。 同じ根から2本の幹が延びていることで、こうした名前がつけられたのだとか。 この松がちょうど天橋立全体の中間に当たる位置にあり、 これ以上先に進むと京都で予約してあるホテルのチェックイン時間を大幅に過ぎてしまうと判断。 泣く泣く引き返すことにした。 まとめ 日本三景の1つだけあって、左右を海に囲まれながら真っすぐ伸びる松並木は壮観の一言だった。 一人旅で訪れるのも良いが、友人や恋人、家族でのんびり話しながらのウォーキングもおすすめ。 その際、もし徒歩での天橋立踏破を目指しているのであれば、時間に余裕を持つか現地で宿泊することをおすすめしたい。
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